新国立競技場の経緯すべて語った森喜朗元首相!

森喜朗元首相 「新国立競技場の経緯すべて語ろう」

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先日、共同通信が新国立競技場の連載を配信したでしょ。初回の見出しが「きっかけはラグビーW杯」だ。はは~ん、ときたね。戦略的に僕を一番の悪者にしようとしてるわけですね。

経緯を説明すると、ラグビーW杯が決まった時、「せっかくビッグイベントがくるんだから国立競技場の改築のいい機会だな」となった。サッカーや早明ラグビーなどは超満員で、時に危険だが、耐震も免震もやってないし、老朽化が進んでいたからね。

もう一つ。国立競技場はもう陸上競技の公認競技場じゃなくなった。陸連(日本陸上競技連盟)が世界大会をやりたくてもできない。つまり陸上、サッカー、ラグビーなどスポーツ界にとって新国立競技場改築は10年来の課題だったわけなんです。

そこにたまたまラグビーW杯が決まった。その時は民主党政権。だから西岡武夫さん(故人、元参院議長)にラグビーW杯の議連会長になってもらい改築話をスタートさせたんです。

ラグビーW杯会場となる条件は定員6万人、それに観客席に屋根がいる。男子サッカーW杯は定員8万人以上。だからサッカーも招致できるように定員8万人 でいこうとなった。それに陸上競技もできるようにするには可動式スタンドも必要だと。そういう話を進めているうちに東京五輪が決まったわけだ。

じゃあ、なんで建築家のザハ・ハディド氏が出てきたかというと僕もよくわからない。2016年の東京五輪招致の時、晴海を中心にした全体像を描いたのが 建築家の安藤忠雄さんなんですよ。あの時は石原慎太郎さん(元東京都知事)が安藤さんと共同作業で晴海に国立競技場を移そうとしてたんだ。

ところが、晴海の話はIOC(国際オリンピック委員会)からノーを食らったわけですよ。風があるから公認記録に影響するってね。羽田空港の空路のせいで放映用の空撮にも支障があるらしいんだな。

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そういうことで16年の招致は落ちちゃったけど、20年は幸い決まった。五輪招致では「立候補ファイル」というのをJOC(日本オリンピック委員会)と 東京都がIOCに提出するんだけど、その中に新国立競技場の全貌が書かれていて、IOC委員の投票の決め手になっているわけです。

13年9月のブエノスアイレスのIOC総会で日本に投票した委員は「日本はこんなすごいものを造るのか」となった。それに安倍晋三首相は「他のどんな競 技場とも似ていない真新しいスタジアムから確かな財源措置に至るまで、その確実な実行が確証されている」と演説して大拍手だったわけよ。

それにもう一つ。19年にはプレ五輪がある。五輪と同じ競技場を使うわけです。それまでに新国立競技場を完成させなければならない。

そういうわけで五輪によって新国立競技場はあんなふうに変わっちゃったんだが、「はじめにラグビーありき」というのは実に下品な推測で怒りを覚えるね。 そんなこと言うならラグビーはWR(ワールドラグビー)と話をつけて日産スタジアム(横浜)に行くか、味の素スタジアム(調布)に行くという話になる。

あえて言えば16年に招致を失敗した東京都とJOCが考えた案でしょ。それだけのこと。ああいう大きな事業だとWTO(世界貿易機関)の関係で国際コン ペをしないわけにはいかない。そこでザハって人を選んだというのは僕もさっぱりわからないが、16年招致の経緯なのかね。

あの有識者会議ってのは、そんなことを決める会議ではないんですよ。投票権もないし。グラウンドの恩恵をあずかる陸連とかラグビー協会とかサッカー協会 とかに「こう決まりました」って報告するだけ。私は当初からあんな生ガキをドロッと垂らしたようなデザインを見せられて「へーっ、こんなのは嫌だなあ」と 思ったけどね。

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そういう経緯もあるんだから東京都は逃げちゃいけない。東京都で開くんですからね。五輪をやりたいと手を挙げたのは東京都だ。その時の都知事は石原さん だ。招致が決まった時は猪瀬直樹さんだけど誘致できたのは石原さんの存在が大きかった。だから石原さんが推薦する安藤さんの意向を文科省もJOCも拒否で きなかったのかな。

だから現都知事の舛添要一さんにも言ったけど、東京都は国がメーン会場を造ることに感謝しなきゃいけない。「迷惑だ」みたいなことを言う立場じゃないでしょ。前々からの経緯から言えば、少しでも資金援助をするのが、むしろ常識ではないかな。

石原さんのもともとの構想では、晴海の競技場は国と東京都が折半でやるって話だったと聞いたよ。1000億円くらいを見込んでたんじゃないかな。それが1300億円、1500億円と膨らんでね…。

舛添さんはそういう過去の経緯を承知して五輪をやるということで都知事になった。だから自民党都連が一生懸命、推したんだ。

舛添さんは来年、リオデジャネイロで市長から五輪の旗をもらって「次は東京だ」とデモンストレーションをやるんですよ。そしてその旗を新国立競技場で振 らなきゃならん。その栄誉を受けたのだから少しは協調性を持ってやってくださいと申し上げた。ものすごく頭のいい人だから記者にペチャクチャと学者みたい なことを言ってたら混乱する。

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僕が言いたいのは、19年のラグビーW杯だけじゃなくてプレ五輪に間に合わせないと世界中の笑いものになるぞってことなんです。

それに今年7月末にクアラルンプールでIOC総会がある。ここでメーン会場がセットされましたという報告を私がしなきゃいけない。

IOCのトーマス・バッハ会長はなかなか腹のある人で、6月のローザンヌでの理事会では「メーン会場の話はしないで結構です。私は日本の仲間を信じてい る」と武士の情けをかけてくれた。理事たちも何も言わずに我慢してくれたが、次も決まらないと一悶着(もんちゃく)あるよ。各国にいろんな日本の新聞情報 が入ってみんな心配してるんだから。

次のIOC総会できちんと報告できなかったら契約違反になる。無責任な評論家は「そんな競技場がなくても五輪はできる」とか言うけど、これはメンツの問題でもあるんです。

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さて屋根の問題もある。

ラグビーもサッカーもグラウンドに雨が降っても別に構わない。問題は屋根が開いたままだったらコンサートや文化行事ができないということなんです。

日本武道館は一度も赤字を出したことはないのはなぜか。コンサートで7~8割の運営経費をまかなっているからだ。東京ドームもEXILEなんかのコンサートをやってる。屋根がないと騒音問題が出て、環境問題になる。

これは五輪にとっても死活問題なんです。なぜかというと開会式は半年以上前から準備する。多くのマンパワーを要するからリハーサルは夜しかできないんです。毎晩電気をつけて音楽かけてたら、たちまち騒音問題になる。

だから本当は天蓋は必要なんです。抗しきれなくなっちゃって「天蓋はやめて五輪後につけます」と言わざるを得なくなったけど、リハーサルは一苦労だな。

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僕は専門家じゃないけどキールアーチが問題なのは分かる。でもそれを前提にして基礎設計をやってるんですよ。キールアーチをやめるとなると全部やり直しだ。そうすると実施設計までに1年半かかり、プレ五輪に間に合わない。

それにキールの部材は7月中に発注しないと間に合わないそうだ。あまりに巨大だから切断したのを運んで現場で接合するしかない。だから仮設工場もいるんですよ。

問題は総事業費だけど、そこは腹をくくって国家的事業だからということで納得してもらうしかないんです。大事なことは、五輪は国と東京都と組織委員会が協力して経費を徹底的に精査すること。僕が組織委員会にきて2000億円くらいはすでに圧縮したよ。

それでも東京都が3000億円、組織委員会もトータルで7000億~8000億円はかかる。でも国は2520億円しか出さない。3対8対2だ。おかしいと思いませんか。

新国立競技場は50年先に東京五輪のレガシー(遺産)として残して日本の文化、科学技術、スポーツを世界に発信すべきなんです。それがアベノミクスでしょ。われわれはそういう理想に向けて歯を食いしばって財政にも迷惑かけないようにやってるんです。

僕も無報酬だ。わずかばかりの議員年金は家内に渡してね。日当は手をつけず組織委のメンバー全員との盆・暮れの打ち上げ代にためてる。いろいろと気を使ってるんだよ。=このインタビューは7月14日に行いました。(石橋文登、森田景史、力武崇樹)

Yahooニュースより転用 転用元URL

2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相は無報酬だそうです。(笑)

 

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